蔵の産地再発見 「鉄」-鍛冶屋 岡本友紀(廿日市市上平良)

打ち水をした石段を上がる。「蔵」の玄関のあわい光。岡本友紀作、鉄の明りです。
鉄工芸家、「光村孝治」のもとで9年間修行。
鉄の世界は体力。女性としての限界に悩んだ。
普通の会社員時代よく通ったカフェのマスターが光村さんだった。
個性的なインテリア。なかでも鉄のライトに魅了された。「長い時間を重ねたときに、古びて味が出る。そんなモノ作りができたら」
光村さんに弟子入りを頼むが「女には無理」のひと言。通いつめてやっと9ヶ月後に望みがかなったが、仕事は生易しいものではなかった。
「感性の人だから口数は少なかったけど、鉄だけでなく、いろんなものを教えてもらいました。間近で見て、物の見方や感じ方、人としても大事なことを」
光村さんの存在はそれ程大きかった。
岡本さんの代表作品は、広島そごう横「パセーラ」。
パセーラのロゴ、玄関広場、エスカレーター横、店舗の看板など、「鉄」はすべて岡本さんの作品、5ヶ月間集中して作品造に。
感動のパセーラです。新しくなったJR博多駅、屋上の「いす」など。
NHK。テレビコマーシャルにも出演。
日本を代表する女性鉄工芸家である。
作品展は東京のみ。
工房は廿日市市上平良、光井さん宅の蔵を永本建設さんが改装。最高の環境で作品造り。作品には女性らしい気持ちが織り込まれている。岡本さん自身も、鍛冶屋のイメージからほど遠いおしゃれな女性です。
「鉄」の世界に魅了されて17年。
女性の限界と戦いながら、今日も鉄を打ち続ける。鉄の温かさを伝える為に。そして光村孝治の意志を継ぐ者として。