蔵の産地再発見 「皐月鱒(サツキマス)」

蔵の産地再発見
「皐月鱒(サツキマス)」 -伊藤順二郎
万古渓養魚観光株式会社 廿日市市所山

蔵より車で40分、西中国山地へ。山深い細道を進み、万古渓へ。民家はありません。川の水は年中冷たく、とっても綺麗。西中国山地からの養分たっぷりの水の中、魚たちはのびのびと養殖されています。まるで仙人のような伊藤社長が笑顔で迎えてくださいました。
伊藤社長は、20代前半、九州で設計の仕事をしていました。そして、その頃都会生活に行き詰まり、田舎の生活にあこがれていました。広島で仕事をしていた兄を伝手に万古渓と出逢いました。
そして九州の仕事はやめ、万古渓で川魚の養殖の道へ修行が始まりました。それから25年、ヤマメ、アマゴ、虹マスの養殖が軌道に乗り、新たにチャレンジしたのが、「サツキマス」でした。
サツキマスは、日本の固有種、サケ科に属し、自然界では5月(皐月)に海から川へ、10月~12月に源流部まで遡上し産卵します。このサツキマスを養殖します。万古渓から海へ。海水で1年。そして海から万古渓へ、淡水と海水。塩分濃度を少しずつ変えて、サツキマスの魚体を淡水に慣らしていく。この慣らしの塩分濃度がたいへん難しく、失敗の山が19年も続きました。そしてやっと今年、光がさしました。夢が叶いました。
45年間の川魚養殖人生。サツキマスの夢を追い続けて20年。その味は?
身はキレイなサーモンオレンジ。川魚にはない上品な脂がのり、食感、旨味、上々です。刺身、炙り、寿司など生食が一番です。低温でのソテー、あらで味噌汁、炊き込みごはん、酢じめ、昆布じめなど、料理の幅は広い。
来年は生産量を増やし、廿日市市の特産品として、全国へピーアール。廿日市市の信頼のおける料理店のみ出荷するそうです。蔵では夏の暑さには弱い魚であるため、秋、涼しくなる頃入荷予定です。
伊藤社長の20年の夢魚。「サツキマス」秋にぜひ蔵で食してください。
20年の感動の味わいです。