ほんとうに美味い店(コラム) 第16回 『Moulind'or」(ムーランドール)』

『Moulind'or」(ムーランドール)』
フランス料理 -オーナーシェフ 木戸敬二 63才
松江市上乃木3-17-35
0852-21-8839

島根食材大好きの私は、今回うわさの山陰フレンチに挑戦です。
蔵より2時間30分、松江道で身近になりました。山陰のフレンチの歴史を作ったお店であります。約30年前、「ムーランドール」はオープン。山陰のお客様にフレンチはなかなか受け入れてもらえなかった。たとえば、サーモン料理。シャケは弁当のおかずだと言われた。フレンチをわかっていない。フレンチの料理教室をやったり、色々な努力の結果、少しずつお客様は増えてきた。フレンチをもっと身近なものに、わくわく、感動、笑顔のフランス料理を目指した日々でした。
シェフは大学時代、とんかつ店でアルバイトをしていた。そこで、一冊の感動の本との出逢い。
辻調理師専門学校の学長が書いた本であった。その本がきっかけで大学卒業後、辻調理師専門学校でフランス料理を専攻。卒業後、フランス、パリで修行後、神戸北野クラブなど、日本で修行後、31才の若さで鳥取県米子市に店をオープン、オーナーシェフとなる。38才で今の松江に移転。松江は素材の宝庫、宍道湖、日本海の海の幸、シェフの出身地安来市や奥出雲、雲南から届く山の幸。
そしていよいよコースが始まります。お昼のコースをいただきました。前菜のスモークサーモンに感動。
境港で養殖されているサーモンを自家製の燻製室で作り上げた品。しっとり、旨味たっぷり、色もサーモンオレンジでとてもきれいでした。
スープは空豆の味が口いっぱいに広がる素材そのもの、やさしい味、色も鮮やかスープでした。
メインの魚料理は「イサキ」。イサキの味が生きるソースは、シェフのこだわりがわかる絶品ソースでした。
デザートは美しく盛り付けられ、アイス、ケーキなど色々入って楽しい一品でした。どの料理もちょうど良い塩加減、甘味も自然、体に素材がしみわたるやさしい料理でした。私がいただいたこのコースがお昼は3000円ちょっとで、夜も4320円からと、お手軽なお値段です。
ワインも充実、シェフは島根県で初のソムリエです。サービスの女性2人もソムリエです。「ワインの事は、お任せください」との事。お店は約40席。シェフ夫婦、娘さん、サービスの女性の方、主に4人で営業されています。
冬は暖炉の火があたたかです。結婚パーティーもできるそうです。サービスは笑顔でシンプルでとても気持ち良かったです。
感動の一冊の本から料理人生がスタートした、木戸敬二さんの山陰フレンチを味わいにぜひお出かけください。